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2024.07.26
部活動

【サイクリング部】夏合宿レポート

 サイクリング部が夏合宿を7月22日~25日の日程で実施しました。今回はその「模様」をレポートしたいと思います。その前に少しだけ“前置き”をさせていただくと・・・実は、このレポートを作成しているのはバスケット部顧問です。つまりはサイクリング部の関係者ではありません。したがって、サイクリングに関する専門的なことは記すことができませんが、その点はご留意いただきたいと思います。

 そもそも、なぜバスケット部顧問がサイクリング部の合宿に参加しているのかというと、(バスケット部は夏に合宿を実施しないこともあり)合宿をより安全に実施していくために、他部の顧問が応援引率として協力をしていくことは“正則高校あるある”なんですが、ちなみに、今年度はサイクリング部の合宿後に和太鼓部の合宿にも参加してくることになっていますので、もしよろしければ、和太鼓部の合宿レポートもご覧いただけると嬉しい限りです。すみません。“前置き”が長くなってしまいました。それでは早速、サイクリング部の夏合宿の模様をレポートしていきます。

 

 サイクリング部の合宿地は長野県の白樺湖で実施されました。毎年利用させていただいている宿泊施設は、施設面は勿論のことですが、さらには高地トレーニングなどの「山岳サイクリング」を実施するのに大変適した場所にあるということもあって、全日本クラスのトップチームをはじめ、多くのサイクリング関係者が利用している宿なんだそうです。ちなみに宿からは白樺湖が一望でき、大変景色のよい場所にありました。

 

 6時30分起床し、7時からの朝食をすませると、選手達はすぐサイクリングの準備に取りかかります。

 

 バイクの状態をチェックし、必要なメンテナンスをおこない、伴走する車にチームと各自の荷物を積み込みます。冒頭でも記しましたが、筆者は普段バスケ部の顧問を担っていることもあって、サイクリングについては全くといっていいほど“知識”がありませんので・・・この準備段階から、驚くことばかりでした。選手たちが各自のバイクを見たこともないような特殊な工具を使い手慣れた手つきでメンテナンスをする様子、積み込まれていく予備の部品など・・・それをみているだけで圧倒されてしまいました。

 準備が整うと、全体ミーティング“が行われます。その後、トレーニング(走行距離)によってチームが二班にわかれ、それぞれの班で、伴走(引率)教員、コーチを交え、前日のミーティングで打ち合わせていたコースについて最終確認を行います。

 出発前、選手達のユニフォームやバイクに搭載している装備などを少し撮影させてもらいました。ユニフォームの後ろポケットには、エネルギー補給用の補助食などがはいっていました。そして、バイクには地図情報が確認できるナビ機器がついていました。コーチの方にうかがいましたが、バイクのギアやブレーキといった機能は勿論のことですが、伴走しながら選手達を補佐するスタッフの通信機器なども多くが電子化されていることもあって、以前よりも安全面は格段に進歩しているそうです。とは言え、バイク自体を操作するのは”人”である以上、事故が起きないということはないので、準備と確認作業はかなり入念に行っていました。

 今回筆者は走行距離の長い方の班に同行することになりましたが・・・走行距離を聞いてびっくりしました。

 その距離、なんと!(全行程で)130㎞以上、しかも標高2000m以上まで登るとのことで、ちょっと引いてしまいました。いくらバイクとはいえ、そんな距離を一日で走破できるものなのか?と素朴というか、ある意味、(素人なら)当然の疑問を持ちましたが、(決して楽なわけではないけど)全くもって特別なことではないとのことでした。

 

 二つの班はそれぞれに宿を出発し、スタート地点までやってくると・・・いきなりの“THE坂道”がまっていました。

 とにかく、スタートと同時に、ひたすら山道を登っていくことになりました。今回、同行していて改めて思ったことですが、山道をのぼっていく選手達をみていて、いくら競技用のバイクとはいえ、なんで足をつくことなく何㎞にもわたって続く坂道をのぼり続けることができるのだろう?と思いました。そこは、やはり乗り物が競技用ということもあって、“ママチャリ”とは違い、ギアの調節によって前に進んでいくそうですが、当然、脚力がなければ、登り続けることはできないとのことでした。

 高低差のあるアップダウンの坂道、長く続くなだらかな坂道、一瞬下ったかと思うと、突如として現れる急な傾斜の坂道・・・標高2000m以上の頂上を目指しているわけですから、当然のことですが、目の前には坂道しかないわけです。故に、延々と続く坂道を無我夢中で登っていく選手達をみていると、思わず「なんで登るの?」と聞きたくなってしまいましたが、そんな険しいコースであっても普段からトレーニングを積んできている選手達は、軽快に、そして颯爽とペダルをこぎ続けていました。しかし合宿で経験する「山岳サイクリング」のコースとは、それほど“甘い”ものでもなかったようで、走行距離が伸びていくのに比例し、徐々に苦しそうな表情をみせる場面も見受けられるようになりました。すると、時折、霧吹きを伴走車から受け取り“力水”とよばれる「水」をかけて(熱中症予防も含め)選手の走力を引き出しながら、延々と続く坂道と選手達はひたすらに格闘を続けていました。

 坂道の連続と何度も記しましたが、それでも坂道を抜けると、“こんな景色”が目の前に広がっていく中を目にしながら走る場面もありました。

 長く続く山道を登ったり、そうかと思えば下ったりしながら、およそ80㎞ほど進んだ先で、ようやく昼食となります。宿から持参したお弁当を食べるのですが、選手達は疲労によって、なかなか食がすすまず(筆者は車に同乗し伴走していただけなのに、なぜだかお腹はすきましたが)悪戦苦闘しながら、なんとかエネルギー補給をすませていました。選手の食欲がすすまなかった理由は、勿論、疲労が一番の要因ではありますが、どうやらその後の行程が“ゲキ坂”を含む険しい山道がさらに続くことで気持ちがおれかかってしまっていたこともあったようです。

 それでも、食事をすませると“気持ち”を奮い立たせ、バイクにまたがり再び出発していきました。

 今回の合宿地を筆者ははじめて訪れることもあって、どこをどう走ってきたのか、よくわかりませんでした。それでも、山を登ったかと思えば、下り、そして、また山を登り、峠にさしかかりの連続だったことは確かです。

 これまでの人生の中で、一日に通過したカーブの数の多さはダントツの1位だと思います。車で伴走しながらときにジェットコースターにでも乗っているのかと錯覚するほど坂道を登ったり、下ったりしました。

 そんな中で、適宜、休息をとっていきましたが、(カーブの多さ故に)筆者は車から降りると少し足がふらついていましたが、選手は脚がパンパンの状態で、ようやく頂上付近に到達すると倒れ込んでいました。

 しかし・・・頂上まで到達すれば、当然あとは下っていくわけです。これまでの長く苦しい坂道とは、「このためにあったのか!?」と言わんばかりに、選手達は山道をくだっていきます。

 標高2000m以上の頂上を攻略した選手達は、息を吹き返したかのようにバイクを走らせ最終的なゴール地点へとむかっていきました。そして、ついに全行程130㎞という長く険しかった道のりを走破しました。

 この一枚は、そんなコース途中の“ゲキ坂”をのぼりきったときのものなんですが・・・「そりゃぁ~こんな表情になるよね!」という選手達の姿であり、同時に、なぜ彼らがバイクに乗り続けるのか、その理由がわかったように思えたときのものです。

 “ど素人の筆者”がまるでわかったふうなことを記してしまっているのかもしませんが、それでも、正則高校サイクリング部は、単に速さを競い合うことだけを求めているのではなく、“本物の達成感”と出会っていくことを第一義としているんだな、だかこそ「山岳サイクリング」にこだわっているのだと彼らの走りを間近でみていて、思った次第です。

【編集後記】

その1「“アクシデント”の数々・・・」

 バイクが不調となれば、即座に修理と調整を入れ、脚がつってしまったら、動かせるようなケアをしたと・・・コーチがありとあらゆる“フォロー”をしてくれたことが選手達の頑張りを引き出し、無事走破できることにつながったのだと思います。

その2「貴重というか、もはや贅沢すぎます!」

 今回の合宿には、現在プロのサイクリング選手として活躍されている正則OBも参加してくれています。

 選手達と一緒に走るだけではなく、夜のミーティングでは、選手達からの質問に対して、貴重な経験談や的確なアドバイスもしてくださり・・・まさに“贅沢すぎる時間”だと思いました。

 そのことは、おそらく選手達も実感していたのでしょう。故に、当然と言えば当然のことなんでしょうが・・・それでも選手達が“プロ選手”の話を聞きもらすまいといった姿で耳を傾けている様子が、とても印象的でした。