【祝!サイクリング部】第46回チャレンジサイクルロードレース参戦記~男子悲願の全日本ロードレース選手権出場権獲得~
2023年4月8日から2日間に渡り、自転車競技ロードレースの登竜門として位置づけられるチャレンジサイクルロードレースが静岡県伊豆市日本サイクルスポーツセンター(CSC)で開催されました。
同レースでは、ユース年代のライダーからエリートクラスのプロライダーまでが全国から集結し、6月下旬に開催される全日本選手権出場を賭けて競い合います。全日本選手権に出場するためには、上位30位までに入ることが必要です。
昨年度の同大会で本校卒業生の土屋さんが女子として部内初の出場権を獲得したものの、男子部員では(外部クラブ登録者を除いて)、未だ出場権獲得を果たせずにいるハイレベルな大会です。前日は警報レベルの強風と大雨の天候でしたが、当日は強風ではあるものの、すっきりと晴れた朝となりました。路面コンディションもドライで、全員が当日までにタイムテーブルを詳細に確認し、部内のスケジュールに沿って各自が準備します。
オープニングレースとなるMU17(17歳未満)クラスには新2年生の大谷選手と神山選手が出場します。サポートには怪我により出場できない髙橋選手とMJ(19歳未満)部門に参加する選手たちが二人を後押しします。MU17クラスエントラント61名、5周回およそ24キロのレースで競われます。
コースレイアウトはスタートラインから緩やかな下りで、1コーナー手前300メートル付近から10%の急激な下りとなり最高速は70キロに迫ります。一つ目の橋(通称1号橋)を超えると登り区間になります。左回りの登りコーナーを過ぎると、コースは再び下り区間に入ります。
ライダーは600メートル先の橋(通称2号橋)目掛けて極端な前傾スタイルで空気抵抗とも闘います。2号橋は左回りのコーナーになっていて、高い通過速度を保つことでその先の登り区間でのタイム短縮に大きく影響を及ぼします。2号橋からゴール地点の秀峰亭までの800メートルは上り勾配で、特にゴールの秀峰亭手前200メートルは「心臓破りの坂」と呼ばれ、コース上最も重要な区間となります。
富士山を背にして回る右のヘアピンコーナーを立ち上がると最終コーナーに向けて最後の登り区間となります。400メーターの登りを終えると、左回りの下り最終コーナーとなります。コンパクトなラインで立ち上がりスリップストリーム(風よけ)を使い合い緩やかな下りのスタート地点に還ってきます。平坦区間のほとんど無い一周5キロ日本屈指の自転車専用サーキットです。
スタートに向けてコースインの位置取りから既にレースは始まります。後方にいればいるほど、人数が多ければ多いほど、登り区間の最初で脚を酷使することとなり、体力を消耗してしまうからです。
無事に2人とも前方でスタートすることに成功しました。接触を防ぎ、隊列を整えるためにスタート後1号橋まではローリング走行が続きます。1号橋先の登り区間に入ったところでアクチュアル(実際の)スタートです。4人の選手の激しいアタックで早くもレースは動きます。1周目大谷は26位、トップ4人との差は16秒と広がります。厳しい闘いが予想されます。
しかし、その後冷静さを取り戻した大谷は2周目22位、3周目20位、4周目には18位と着実に浮上します。ピットからは無線で周回数、現順位、現集団の人数、後方とのタイム差を確実に伝えます。そして迎えた最終ラップ、6人による11位争いに加わることに成功した大谷は、最終周回に自己ベストを記録し、17位でレースを完走します。サイクリング部史上初、男子による全日本選手権出場権獲得の瞬間です。
サポートした部員、コーチ、保護者の方々の歓喜の声が大谷選手を迎えます。
もう一人のエントラント神山選手も必死に食い下がり、最終ラップ直前の4周目にタイムアウトとなってしまいましたが、挑戦する姿勢を見せてくれました。
そしていよいよ女子ジュニアクラスのレースを挟み、部員9名が参戦するMJクラスのスタートが近づきます。試走を早めに終え、ミーティングで確認したとおり、スタート最前列を確保します。
数年前までは、他のライダー達の気迫に押され、後方からのスタートを余儀なくされていましたが、「闘う姿勢」を胸に秘め、水谷主将を筆頭に全員が「レーサー」の表情に変わります。
無事にローリングスタートを切り、アクチュアルスタートに備えて全員が身構えます。1号橋を渡り、160名を超える大集団の速度が激変します。
8周回39キロのレースは3周目に飛び出した奈良県の選手が23名の集団から抜け出し優勝。そこから2分離れた第2集団の6人が続き、30位最後のチケットは奈良県の選手が手に入れました。結果として、完走42名というサバイバルレースとなり、残念ながら正則は9名全員がタイムアウトという結果に終わりました。
しかし、昨年度に比べ規定周回には届かなかったものの3年水谷選手、古川選手、横田選手の3年生が2年生の雪下選手を導くような形で自己ベストを更新する成長も示してくれました。
全日本選手権出場という目標は達成しました。しかしその先の目標を達成するために、全日本の切符を手に入れられなかった選手達が、どのように行動していくのかを見守っていきたいと思います。
最後になりましたが、保護者の皆様には早朝から夕方までの長時間に渡りご支援を戴き、心から感謝致します。ありがとうございました。今後もよろしくお願い申し上げます。